インボイス対応

最近、巷でよく耳にする「インボイス制度」・・・
情報が多すぎて結局なにをすればいいかわからない、と思ってしまいますよね。

このページでは「そもそもインボイスとは?」「具体的になにをすればいいの?」といったことをわかりやすく解説していきます!

インボイス制度とは?

インボイス制度は2023年10月から施行される消費税の制度で、正式名称は、「適格請求書等保存方式」といいます。

そして「適格請求書(インボイス)」とは、所定の記載要件を満たした請求書・領収書などのことをいいます(以下、インボイスといいます)。

この所定の記載要件とは下記の9つになります(覚えなくても大丈夫です)。

9つの記載要件

①発行者の氏名または名称
②取引年月日
③取引内容
④取引金額
⑤交付を受ける者の氏名または名称
⑥軽減税率の対象品目である旨
⑦税率ごとに合計した対価の額
⑧税率ごとの消費税額および適用税率
⑨登録番号

この要件を満たしたインボイスを保存することにより、消費税の「仕入税額控除」を受けることが可能になります。

逆に言えば、インボイスに該当しない請求書や領収書では、「仕入税額控除」は認められないということになりますね。

ここで「仕入税額控除」という新しい言葉がでてきましたが、これは消費税の仕組みに関する用語になります。

次はこの「仕入税額控除」とはどういうものかみていきましょう。

インボイス対応を考える上で知っておくべき消費税の仕組み「仕入税額控除」

消費税の仕組みは簡単にいってしまえば、「受け取った消費税」から「支払った消費税を差し引き」、その「残額」を納めるというものです。

簡単な事例でみていきましょう(実際はもっと複雑な計算が必要です)。

事業者Aさん(課税事業者)の1年間の取引

・1年間で税込1,100万円(内100万円が消費税)の売上
・1年間で税込660万円(内60万円が消費税)の仕入等

この場合にAさんが納めるべき消費税
100万円 ー 60万円 = 40万円

このように受け取った消費税から、支払った消費税を差し引く仕組み、これを「仕入税額控除」といいます。

この仕入税額控除の仕組みのおかげで、受け取った消費税(上の事例でいうところの100万円)をまるまる収めなくてもよくなっているわけですね。

ここで最初に説明した「インボイス」に話を戻してみましょう。

「インボイスでなければ仕入税額控除が認められない」というのが最初にした説明でした。

では、上記事例のAさんが、インボイスを発行できない事業者から仕入等を行っていた場合、どうなるか比較してみましょう。

事業者Aさん(課税事業者)の1年間の取引

・1年間で税込1,100万円(内100万円が消費税)の売上
・1年間で税込660万円(内60万円が消費税)の仕入等
仕入等の内、220万円(内消費税20万円)の仕入等はインボイスに非対応

この場合にAさんが納めるべき消費税は
100万円 ー (60万円 ー 20万円) = 60万円 → 消費税コストが20万円増加!

このように、インボイスを発行できない事業者と取引をすると、消費税コストが増加してしまう結果となりました。

実際には経過措置などもあり、いきなり全額が控除できなくなるということはないのですが、最終的には全額の仕入税額控除が認められなくなっていきます。

この結果を踏まえて、インボイス対応をしないとどうなるか、考えてみましょう。

インボイス制度、対応しないとどうなる??

このインボイス制度に対応しないと、どのようなリスクが考えられるでしょうか?
具体的には、取引先が仕入税額控除を受けられなくなってしまうことを嫌い、取引を打ち切られてしまうリスクが考えられます。

またインボイスが発行できないことで信用をしてもらえず、新規の取引の獲得がしにくくなってしまう可能性もでてくるでしょう。

特に事業者同士の取引、いわゆるBtoBの事業をされている方は、インボイスの対応を早めに検討する必要があります。

逆に、取引先が消費者、いわゆるBtoCの事業の場合、そもそも取引先(=消費者)は仕入税額控除を考慮する必要がない場合がほとんどのため、インボイス制度に対応しなくてもさほどの影響はないと考えられます。

インボイス制度に対応することでデメリットを被るケース・・・現時点で免税事業者の事業者さま

既に「課税事業者(※1)」である事業者さまについては、基本的にはインボイス制度に対応する前提で考えて問題ないでしょう。

一方で現時点で「免税事業者(※2)」である事業者さまについてはインボイス制度に対応することでデメリットを被るケースもあるので、検討は慎重に行いましょう。

具体的には、現時点で「免税事業者」である事業者さまについては、インボイス対応をすることで「課税事業者」になることになるため、これまで納める必要のなかった消費税コストを負担しなければいけないこととなります。

また税理士に申告を依頼している場合、消費税申告については別料金が発生する場合がほとんど(弊所も同様です)のため、そのコストの確認も必要でしょう。

インボイス対応を「行わない」ことで取引先から取引を打ち切られてしまうリスク。インボイス対応を「行う」ことで消費税コストを被るデメリット。

免税事業者の場合はこの2つを天秤にかけ、どちらの方がネガティブな影響が小さいかでインボイス対応の方針を判断していただくこととなります。

(※1)
他にも要件がありますが、基本的には「前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超えている事業者」を指し、消費税の納税義務があります。
課税売上高が1,000万円以下であっても、所定の届出を提出することで消費税の課税事業者となることができます。

(※2)
他にも要件がありますが、基本的には「前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下の事業者」を指し、消費税の納税義務がありません。
しかしインボイス制度に対応するには別途届出を提出し、課税事業者となる必要があります。

インボイスに対応するための具体的な手続

ここまでご説明させていただいたことを表に簡単におまとめさせていただくと、下記のような流れでインボイス対応を検討していただくことになります。

取引先に対する手続

インボイス制度に対応するには、「適格請求書発行事業者の登録申請」を税務署に提出し、「登録通知書」を受け取る必要があります。

そしてその登録通知書に記載してある「登録番号」及びその他所定の事項を記載した請求書・領収書を発行できるように、請求書や領収書の様式を整える必要もでてきます。

①適格請求書発行事業者の登録申請を税務署に提出し、「登録番号」を取得する。
②請求書・領収書等の様式を、インボイスの様式に整える。

②の「請求書・領収書等の様式を、インボイスの様式に整える」について、具体的には下記のように様式変更が必要になります。

現行制度

①発行者の氏名または名称
②取引年月日
③取引内容
④取引金額
⑤交付を受ける者の氏名または名称
⑥軽減税率の対象品目である旨
⑦税率ごとに合計した対価の額

インボイス制度施行後

①発行者の氏名または名称
②取引年月日
③取引内容
④取引金額
⑤交付を受ける者の氏名または名称
⑥軽減税率の対象品目である旨
⑦税率ごとに合計した対価の額
⑧税率ごとの消費税額および適用税率
⑨登録番号

これには請求書発行機能のあるクラウド会計ソフト「freee」や「MoneyForward」などを活用することで、スムーズに対応が可能だと思われます。

社内で必要な対応

ここまで、取引先に仕入税額控除をしてもらうことができるようにするにはインボイス対応が必要と説明してきましたが、では逆に自分たちが仕入税額控除を受けるためにはどのような対応が必要になるのでしょうか?

インボイス制度施行後に仕入税額控除を受けるにあたっては、事務作業が格段に増えることとなります。

従来の事務作業に加え、支払先がインボイス発行事業者かどうかひとつひとつ確認し、その結果に応じて控除できる消費税額を調整していく必要があります。

具体的な対応方法については、「消費税の簡易課税方式を選択する」、「ITツールの活用」などが考えられます。

これについては税理士によっても対応が大きく異なるため、まずは顧問の税理士に相談してみましょう。

お問い合わせは下記よりお願いいたします

佐々木税務会計事務所では、インボイスへの対応の無料相談を受付しております。
対応方針にお困りの方、お気軽にご相談ください。

お電話 03-3408-7488

メールフォームは<こちら

佐々木税務会計事務所

青山・表参道・原宿の税理士事務所 佐々木税務会計事務所

〒107-0061 東京都港区北青山3丁目5-14 青山鈴木硝子ビル7F 地図はこちら
お問い合わせは 03-3408-7488