消費税のインボイス制度【レジャーホテルの注意点】をご紹介いたします

レジャーホテルのインボイス制度をご紹介

今年10月からスタートする消費税のインボイス制度について、
内容を理解している事業者がいまだに半数に満たないとのアンケート結果を会計ソフト大手の弥生が公表しました。

調査は全国の個人事業者と小規模事業者2500人を対象に実施したものです。

「インボイス制度の内容を知っているか」との問いに対し、「聞いたことはあるが内容はよくわからない」(43.8%)、
「全く知らない・聞いたことが無い」(6.5%)と制度の仕組みを把握していないと答えた事業者が過半数を占めました。一方、
「知っている」と答えた事業者の割合は2021年度の前回調査から33.9ポイント増加したものの49.7%と半数を割っており、
制度開始まで約3ヶ月となった今も認知度は不十分な状況が続いています。

制度対応に向けた課題として最も多く挙げられたのは「自社にどのような影響があるかわからない」で32.7%を占めました。
この調査結果を見ると、認知度は上がって来ていますが、具体的な準備はこれからのようです。

目次

レジャーホテルの注意点

売手の場合

レジャーホテルでは基準期間の課税売上高が1000万円を超えるケースが多いと思いますので、インボイスの登録はおおむねすることになると思います。
ホテルが売手のケースですが、基本的に請求書を発行することはほとんど無いと思いますので、関係してくるのは、領収書の発行をする場合です。

インボイスは、求めに応じて対応する必要がありますので、領収書の発行を求められたら、発行する必要がありますが、
その際に、特に注意が必要なのは、Tから始める登録番号の記載です。

これは、番号の入ったゴム印などで領収書に押印しておくか、あらかじめ記載要件を満たした領収書を作成してPDFにして、
各店舗に用意しておくなどの対応が良いかもしれません。

インボイス発行の場合も保存の要件もありますので、保存もお忘れなく。

買手の場合

登録番号の確認

受領したインボイスが、適格請求書発行事業者かどうかの確認が必要になります。
今年の10月1日からスムーズに処理をスタートするためには、今のうちに、「取引先」と「登録番号」を整理しておく必要があります。

請求書に、すでに登録番号記載のあるものは、それを管理しておき、まだ記載のないものは、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトなどで、
確認しておくと良いでしょう。

レジャーホテルの取引先のうち、大手の業者さんは、ほとんどが登録されていると思いますが、個人事業主で、売上規模が小さい業者さんの場合は、
あらかじめ問い合わせなどして確認しておいた方が良いと思います。

10月以降で、業者さんへの支払いが終わって、税理士に請求書を渡して処理してもらったら、
登録事業者ではなかったので仕入税額控除(消費税法でいう経費)ができないというケースも出てくると思います。

インボイス交付義務の免除

3万円未満の公共交通機関による旅客の運送

船舶、バス、鉄道などの公共交通機関の運賃で1回の取引の税込価額が3万円未満の場合は、インボイスの交付は免除されます。
ただし、切符1枚の金額が3万円の基準ではありません。

(例)
東京ー新大阪間の新幹線の大人運賃が13.000円であり、4人分の運送役務の提供を行う場合には、4人分の52.000円で判定することとなります。

3万円未満の自動販売機からの商品の購入等

インボイスの交付義務が免除される自動販売機特例の対象となる販売機等は、代金の受領と資産の譲渡等が自動で行われる機械装置であって、
その機械装置のみで、代金の受領と資産の譲渡等が完結するものをいいます。

インボイスの交付義務免除の例

①自動販売機による飲食料品の販売
②コインロッカーやコインランドリー等によるサービス
③ATMによる料金振込等に係るサービス

交付義務免除の対象とならない例

①小売店内に設置されたセルフレジを通じた販売
②有料道路のETC
③インターネットバンキング
④コインパーキング

これらは、機械装置により単に生産がおこなわれているだけのものや、機械装置自体の設置がないネット上の取引の他、
自動販売機のように、代金の受領と券類の発行はその機械装置で行われるものの資産の譲渡等は別途行われるようなものです。

1万円未満の少額取引はインボイス不要

2年前(基準期間)の課税売上が1億円以下又は1年前の上半期(個人は1月~6月)の課税売上が5千万円以下の事業者は、
事務負担の軽減措置により、1万円未満の少額取引は、インボイスが不要になります。

※インボイスの保存は不要となりますが、領収書や請求書の保存が免除される訳ではありません。
あくまで消費税法におけるインボイスの保存が不要となるだけです。

その他注意事項

ETC料金の会計処理

高速道路を利用する際に、ETCクレジットカードにより料金を支払っているような場合、
クレジットカード会社から受領する利用明細書を保存するだけでは、仕入税額控除はできません。
ETC利用紹介サービスの「利用証明書」を取得することで、インボイスの保存要件を満たすことになります。

口座振替等の支払い(家賃など)

不動産の賃貸で口座振替や口座振り込みで決済していると、取引の都度、インボイスが交付されない場合がほとんどだと思います。
こうした場合でも、仕入税額控除の適用をうける為には、原則、インボイスの保存が必要となります。一例としては、
取引の相手方から一年分の賃借料をまとめて記載したインボイスの交付を受けて、これを保存するといった対応が考えられます。

また、インボイスは、一の書類や電子データですべての記載事項を満たす必要はなく、複数の書類等で記載事項を満たせば良いことになっています。
従って、下記のような対応も可能になります。

①令和5年10月1日以降の契約
賃貸契約書に貸主の登録番号等を記載+振込金受取書(振込の場合)の保存又は銀行口座通帳(口座振替の場合)の保存

②既存契約
インボイスの記載事項(登録番号等)で契約書に記載のないものについて、貸主から通知を受ける。

独占禁止法又は下請け法上の注意点

課税事業者が、インボイス制度に対応するために、取引先の免税事業者に対して、課税事業者になるよう要請することがありますが、
このような要請を行うこと自体は、独占禁止法上、問題となるものではありません。

しかし、課税事業者になるよう要請することにどとまらず、課税事業者にならなければ、取引価格を引き下げるとか、
それにも応じなければ取引を打ち切ることにするなどと一方的に通告することは、独占禁止法又は下請け法上、問題となる恐れがあります。

間違えやすい収益物件の消費税

インボイス制度で消費税の計算が変わってくるものではないですが、消費税の注意事項として、覚えておいてもらいたい事項です。
投資目的で買う不動産は「収益物件」と呼ばれますが、収益物件といっても賃貸アパートもあれば、店舗や事務所、倉庫など様々なものがあります。

これらは大きく「居住用」か「業務用」の2種類に分けられ、どちらも入居者から賃料をもらって経営を行う点は同じです。
しかし税務の観点からみると、両者には明らかに異なっている部分が一点あり、それが入居者からもらう賃料の消費税の扱いです。

物件が店舗や事務所など「業務用」であれば、オーナーは入居者から必ず消費税を含んだ賃料をもらいます。
家賃、管理費、共益費、礼金のすべてに消費税がかかることになります。

一方、居住用のアパートやマンションの入居者から受け取る家賃には、消費税が含まれません。
管理費、共益費、礼金も同様で、これは「ただそこに住むだけ」なら収益が発生しないので、消費税の担税力がないとみなされるというのが理由です。

しかし居住用物件であっても、入居者から受け取るお金全てが消費税を含まない非課税の支払かというと、そうではありません。

入居者が設備を利用したりサービスを受けたりするようなものについては消費税を含んだ料金を受け取る必要があり、駐車場代、
インターネット料金、ケーブルテレビ利用料、鍵の交換代などが該当します。

非課税となるのは、あくまで家賃関連の支払だけになります。

入居者から受けとるお金のうち特に気を付けるべきものとしては、中途解約などの違約金があります。

契約期間の途中で入居者から解約の申し入れがあれば、オーナーは中途解約の違約金として数か月分の家賃相当額を入居者から受け取ることがあります。

この違約金については、オーナーに逸失利益を補填するために受け取るものなので、性質としては「損害賠償金」となります。
損害賠償金には、消費税はかかりません。

少し話が難しくなってしまいましたが、実務上では判別しにくいポイントが多々あることを覚えておいて欲しいと思います。

今回は、インボイス制度の中でも、特にレジャーホテルに関係がありそうな論点を記載しました。
皆様の今後のビジネスに少しでもお役に立てればと思います。
(一部、納税通信引用)

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